ママ手伝って?!

その1

 家庭において、地域において、学校において、それぞれの「教育力の低下」という言葉が行き交っております。この表現が、願わくは互いを責め合うために使用されないことを願っております。責め合ったところで何も前向きな回答は出てこないからです。何が原因なのかをとことん捜し求めるほうが、はるかに優れていると思います。

そこで思うことです。子どもたちが遊び戯れる場所が極端に少なくなった、ということです。先日のある方の話によりますと、公園ではキャッチボールもできなくなったとか。「異様な社会現象」のような気がします。多くのものがワンタッチで機械を動かせたり、また、手をかざすだけで水が出たり、など一方では便利になりました。他方では、本来は体を動かして行うことなのに、その機会がなくなりました。

 年齢上のことを申しますと、お子さまによって個人差がありますが、1歳~1歳半ころになりますと、お子さまは自分の身の回りのことを「自分でする」ようになります。完全にはできませんので、その時、大人が子どもに代わってやろうとすると、自分でするといって大人がすることを制止したりします。「この子はキカン坊だから」ですますのか、お子さまのすることを「見守ろう」とするのかによって、子どものその後に影響してきます。

その2

 子どもが「自分でする」と言い出したときが、「自立して生きる」ことへの最初の階段といえます。ここに、将来自立する生き方を、意識的に求めるようになる原点・出発点があります。この時期は動作ものろく、きれいにできませんが、だからといって親が子どもにとって代わってやったとしても、その子の将来には役に立ちません。どうして?大きくなっても何もやろうとしないお子さまを見て、「いつまでも親に頼らないで自分でしなさい」と言うことは、幼少の時代に小言を言うよりしんどくなります。その体験をしないためにも、今じっくりと見守ってあげることです。

 子どものこうした行動は何を意味しているのかといいますと、「僕が、わたしが一人でできるように、お父さん、お母さん手伝ってね!」という子どもたちの叫びなのです。お願いなのです。NPO(非営利組織)法人「全国引きこもりKHJ親の会」の調査では、引きこもり状態にある人の平均年齢は28.1歳で、10年以上の引きこもりは31.5%に上るといいます。「若いうちに心にハンディを負うと、抜け出すのは簡単ではない」と指摘しています。

 私たち皆が「人間らしく」生きるためには、この幼少時期をいかに過ごすかにかかっているといっても過言ではありません。「観察」(観て察してあげる)をもっと大事にできたら良いなと考えております。